うっかりミスが続く。
何度言っても指示を守れない。
どうしたら仕事ができるようになるんだろう?
と感じたとき、従業員さんへの対応、どうしていますか?
新しく入社された方の様子を見ていて
「なんで何度言っても仕事ができるようにならないんだろう?」
と思われたことありませんか?
何度指導しても仕事ができるようにならない原因の中にはご本人が発達障害の傾向を持っていることもあります。
発達障害には様々な種類があります。
そしておよそ20人に1人は何かしらの発達障害を持っているかもしれない?という統計を厚生省も出しています。
つまり、ほとんどの会社にお一人はいらっしゃる計算なんですね。
決して珍しいことではないものなのです。
私が管理職の方から「こんな状態で困ってる!」とお聞きするのは
- 忘れ物が多い
- うっかりミスが頻発する
- 何度言ってもルールが守れない
- 周りと協力して仕事ができない
こんな従業員さんのお話です。
このような特徴を持っている方はもしかすると発達障害の傾向があるかもしれません。
発達障害の傾向があるかどうかを入社前の面接で気づくのはなかなか難しいものがあります。お医者さんでも何度も何度も面談をして慎重に判断しています。
しかし、いくらミスが多い。指示が守れないからと言っても雇用した以上、簡単に解雇とはいきません。
中小企業では配置転換などの工夫にも限界があると思います。
できることなら一緒に長く働いてほしい。皆様そう思ってご相談してくださいます。
そこで、今回は「ひょっとして病気でもあるのかな・・・」
と思われたときにどう対応していくのか、私の実際の面談事例を使って解説していきますね。
業務がこなせない根本原因はどこにあるのか
「何度言っても指示を守れないどころか、まるで無視しているような態度で困っています」
「チームの雰囲気も悪くなるし、どうしたものか」
「とてもいい子なんですよ。お客様からの評判もいい。だからもどかしいんです」
そのようなご相談を受けて、私が面談させていただくことになりました。
まず対象のAさん自身が今の状況についてどう思っているかが重要です。
Aさんが普段の仕事について感じていることや自分なりの自己評価を聞いていきました。
するとご本人もうまく仕事がこなせていないことを自覚されていました。そして周りに迷惑をかけていることへの罪悪感ももっていらっしゃいます。
そこでAさんと得意なこと苦手なことを2人で整理することにしました。
その結果、
苦手:優先順位を考えて仕事をすること
得意:何気ない世間話をすること
がわかりました。
「なるほど。お客様からの評判が良いのも世間話が得意だったからなんだね」と上司の方は深く頷いて嬉しそうにされていました。
そして、社内での業務がうまくいかないのは
今、何が優先されるのかが分からず段取りを組めないことが原因だったことがAさんも上司も自覚できたのです。
この結果から上司の方と一緒に対策を考えました。
上司とも相談して一緒に「段取り」を決めていく
「お仕事も好きだし、この会社のことも好き。仲間のことも大切に思っているから迷惑をかけて申し訳ないという気持ちも持ってらっしゃいます」
と私は上司にお伝えをして、
「ただAさんは発達障害の傾向があるかもしれません。このような方は、他の人より丁寧に指示する必要があります。Aさんが苦手にされているところをチーム全体で理解して仕事の仕方に工夫を凝らしてみませんか?」
とご提案しました。
具体的には指示をより明確にして、手順化してあげる。
「○○したら、次は■■をする」
と仕事の手順で迷わないようにしていきました。
仮に迷ったときにも誰に確認すればいいのかまで決めることでAさんが右往左往することは徐々に減っていきました。
その後も定期的にAさんだけでなく、チームのメンバーの方々とも面談を行いましたが、憤りや戸惑いも徐々になくなり、今ではAさんにいて欲しいという雰囲気ができるまでに改善されています。
おさえておきたいポイント
どう対応していいかがわからない時は、やはり相手が何を考えているか、どこで躓いているかを客観的に観察することが大切なんですね。
「なんで、できないんだ!?」
と言いたくなる気持ちはすごくわかります。そこをグッと我慢して、一旦上司としての立場を脇に置いて相手の話を聞くことから初めてみてください。
社員さんの気持ちがわかると納得感を持って次の対応が取れるようになりますよ。
・・・
「従業員が何を考えているかわからない」
「自分たちの想いは従業員に伝わっているのかな」
「体調不良の従業員がいるけど対応がわからない」
もしそうなら、まずは従業員の本当の気持ちを知ることからはじめてみてください。
うまく相談できず悩み続けているかもしれません。
どのように面談してあげたらいいかわからないときはぜひ橋口麻友子にお気軽にご相談ください。
従業員の気持ちがわかることで案外、チームのみんなが働きやすくなる可能性もあります。
次回の予告
「退職者は本当の理由を言わない!?」
社員からの
「ちょっとお時間よろしいですか?」
ドキッとする瞬間ですよね。
そして悪い予感は当たります。
退職の申し出です。
「どうして?」「なぜ?」
色々な聞き方をされると思いますが、納得できない、釈然としない面談で終わることはありませんか?
社員はなかなか上司に本音は言えないものです。
次回は本当の退職理由が分かったことで、社内環境の整備を考えるきっかけになった事例をご紹介します。
お楽しみに!