本日は、宗像市で障がい福祉サービス事業をされている株式会社ゆり庵の代表取締役:野崎幸重さんに、障がい福祉サービス事業を始めたきっかけやこれからの展望などを聞かせてもらいました。
野崎社長の人柄や福祉に対する思い、地域に対する思い、次世代に対する思いが伝わってくるインタビューになっています!ぜひご覧ください。
- Q なぜ社会福祉の道に進んだのですか?
-
幼い頃に喘息を患い身体が弱く、いつも人から助けてもらっていました。ある日、映画の「スーパーマン」を見て、自分と対極にいる“強くて人を助けられるスーパーマンになりたい”と思っていたのを覚えています。進路を決めるとき、親戚から「お前は身体が弱かったから身体が弱い人の気持ちが分かるんじゃないか。」と言われて介護福祉の専門学校に進学しました。
専門学校時代、障がい児施設の海水浴ボランティアに参加した時、一人の男の子を担当しました。海に遊びに行ったのですが、どんどん沖に歩いていってしまって、どんな声かけをしても浜の方に戻ってくれません。どうしたらいいんだろうと考えに考えて、「あっちにアイスあるよ!」と伝えると、その子はハッとした表情をして踵を返して浜に戻ってくれました。その時、簡単にコミュニケーションを図れない中で、心に響く提案ができると通じ合える、“周波数が合う”ような感覚に面白さを感じました。それがきっかけで障がいを持った人と関わる施設で働くことを決めました。
- Q 独立することにしたのはなぜですか?
-
元々、自分なりに“理想とする福祉像”を創っていきたいという気持ちはあったと思います。実際に独立することになったのは偶然もあります。家庭の事情で社会福祉施設を退職し、一時は他業種を見てみたいと思い異業種の会社の採用面接を受けたのですが、その会社の取締役が個人で別会社を持って訪問介護事業を行なっており、私の経歴を見て福祉事業を軌道に載せて欲しいと言われて、そこから手伝うようになって半年後には福祉事業を行う会社の役員として働き始めました。
結局は福祉の世界に戻ってきて、やっぱり自分は福祉が好きなんですね。(笑)
- Q 大分から福岡に来たきっかけを教えてください。
-
当時大分で放課後等デイサービス事業を複数展開していた会社に、福岡のゆり庵の社長が見学に来られ、ゆり庵が宗像市の放課後等デイサービス事業第1号と聞いて興味を持ちました。実際に福岡に来てみると、大分と福岡では福祉サービスの充実度がかなり違っていて、最初は苦労しましたが、地域の事業所や学校、障がい児親の会などを通した草の根活動で、徐々に認知度が上がっていったと思います。
- Q 社長に就任して大変だったことはありますか?
-
2021年1月に社長に就任しました。ちょうどコロナが日本に入ってくる直前です。そしてコロナになってから経営がとても大変でした。緊急事態宣言が出て、グループホームの退所や通所サービスの利用控えがあったり、とにかく事業所を閉鎖しないように維持存続だけを考えていました。
いずれコロナは収まるとは思っていましたが、それでも長かったですね。
- Q これからゆり庵をどうしていきたいですか。
-
福祉関係のことで困ったことがあったとき、「ゆり庵に頼ろう」と思ってもらえるようにしたいです。そのためには、多様化するニーズにしっかりアンテナを張って本気で向き合うことが必要だと思います。
宗像のシンボル花がカノコユリで、ゆり庵の“ゆり”は、カノコユリからきています。ゆり庵もカノコユリのように街に必要とされ、そっと街を支える存在になっていきたいです。
それから同じ志を持った福祉事業者と連携していく必要もあります。私たちには、次の世代、その次の世代に何を残せるかを考える役割があると思っています。障がいを持っていても、安心して街で暮らせる仕組みを残していくために、仲間を集め、福祉の次世代育てを総合的にやっていきたいです。
- Q 最後に、野崎社長が人生で大切にしていることは何ですか?
-
「幸せを感じること」です。これが叶ったら幸せとか、これを手に入れたら幸せとかではなく、ありのままでも幸せだと感じるということです。当たり前だと思っていることが、実は当たり前ではないということに気がつけば、日常の見え方が変わると思います。
私の名前は幸重と言いまして、幸せの重なり=ハッピーミルフィーユです。当たり前の日常から幸せを感じて幸福感を倍増させていこうよ!というのが私のテーマです。
ありがとうございました。
野崎社長から、ここには書ききれないほどの思い出や熱意を聞かせていただきました。
昔、恩師から「お前がおって何をしよんや?」と言われた言葉がずっと頭に残っていて、いつも今の自分を恩師が見たら何と言うかなと考えながら仕事をしていると言われていたのが印象的でした。自分を律しながら、障がいを持っている人でも住みやすい街づくりを遂行されている様子がうかがえました。
将来に希望を持って邁進されている野崎社長をこれからも応援したいと思います!